



県立の普通科高校卒業
短大で金属(鋳造)を学ぶ
会社で販売業務を行う(8年間)
2006年4月 DECOBI 研修生として入学 (入学時 28歳)
2007年3月 DECOBI 研修生修了
DECOBI ステンドグラス工房助手を経て、 現在ステンドグラス工房講師

小さい頃から、絵を描いたり、ものを作ったりするのが好きでした。実際に生活の中で使えるものを作りたいという思いと、素材として金属に魅力を感じていたので、短大に進学し金属(鋳造)を専攻しました。でも実際に鋳造を学んでみて、自分のやりたいこととちょっと違うなと思ったんです。
それで金属とは関係のない会社に就職しました。でも8年間の会社勤めのあいだも、ものづくりへの気持ちはずっと持ち続けていて、旅行先ではものづくりの体験教室に参加したり、週末のカルチャー教室に通ったりしていたんです。それで、いろんな体験をしているうちに、自分はステンドグラスをやっていきたいのだと気付きました。当時通っていたステンドグラス教室は、山奥にあって、そこで過ごした時間がとても良い時間でした。
会社での販売の仕事は毎日が数字との戦いで、プレッシャーもかなりありました。そんななかで週末の教室は、日常のプレッシャーから解放される時間でした。そのとき教室で作った作品や、学んだことはもちろん大事ですが、それよりも週末にものづくりに没頭できるその時間が、自分にとってなくてはならない大事な時間だと感じていました。
そして、いつか自分もステンドグラスの教室を開いて、たくさんの人に、そういった心地よいものづくりの時間を過ごしてもらえたらと思うようになりました。そのために、ステンドグラスの技術をもっと身につけようと思ったのです。

もっとステンドグラスの勉強をするためにどうしたらよいか、色々な教室を探しました。そうしているうちにDECOBIを見つけました。
最初は、会社を辞めてまでステンドグラスを学ぼうとは思っていなかったのですが、DECOBIを見つけて、どんな学校かを知っていくうちに、ここで学びたいという気持ちが大きくなってしまったんです。例えば、週1回のカルチャー教室と比べると、毎日、朝から夜まで本格的に勉強できるDECOBIだったら、カルチャー教室の何年分のことを学べるのだろうと思い、気持が固まっていきました。

確かに、親や会社といった身の回りの人に対しても、なかなか言い出しにくかったです。思い切って親に打ち明けると、「援助はできないけど、自分が後悔しないようにしなさい。」と応援してくれたので、気持の後押しになりました。
技術的な部分で、研修生としての1年間で、初心者からどこまで上達できるのだろうか? という不安もありました。でも、DECOBIでは小人数制ということもあって、一人ひとりに合わせて指導してくださったので、自分のペースで学んでいくことができ、次第に不安も消えていきました。

不安もありましたが、同時に魅力でもあったんです。もし自分でアパートを借りて住むとなれば、入居費用もかかる上、家賃も安くないですよね。生活費や授業料は自分の貯金だけでまかなう予定でしたので、アパートと比べるとかなり安く生活できるのでありがたかったです。反面、寮則や共同生活、プライバシーといったことに不安を感じていたのですが、各部屋は完全な個室で、洗面とトイレが付いていましたし、ほとんどアパートと変わらなかったので安心しました。それに、お風呂は共同の大浴場のみでしたが、それまでの独り暮らしだと毎日湯船にお湯を張るのがもったいなくてシャワー中心でしたので、大きな湯船に毎日浸かれるのはうれしかったです。
それから、年齢の部分も気にはなりました。高校卒業してすぐに入学した学生がやはり多いので、だいぶ年も離れていますし、まわりから少し浮いてしまうかなと。
でも、同じような社会人の方もいましたし、年が離れていても、ものづくりという共通の目的があるだけで、すぐに打ち解けることができて、ものづくりの話はもちろん、それ以外のいろんな話もできて、本当に良い出会いができたと思います。

とにかく制作に専念できた1年間でした。学校が開校している日は、朝から晩まで校内にいる生活でした。授業時間は夕方に終るのですが、その後も夜9時まで工房が使用できるので、目一杯それを利用して課題に取り組みました。一つの課題の制作が終わると、次の課題に進めるので、やればやるほど、より多くの新しいことを学べたので、とても励みになりました。
実習内容も本格的で、テキストだけではわからない部分も良く理解できました。技術的にはこの1年間で基本をしっかりと身につけることができたと思います。まだまだ自分の中の課題もたくさんありますし、学ぶことはたくさんありますが、そういったことに対して、自分で道筋を立てて取り組んでいく自信や力は身についたと思います。
それから、他工房の存在も良かったです。短大時代は自分が専攻する金属以外の工房は、気軽に近寄れる雰囲気ではなかったですが、DECOBIでは6つの工房の垣根が低く、気軽にのぞくことができました。毎日、すぐ近くでいろんな工房の制作現場を見ることができて、自分にとって良い刺激になっていました。実際に見るだけでなく、他工房で制作されているものについて、いろいろ尋ねると、丁寧に説明してくれましたし、自分の作品に異素材を使いたいときには、他工房で作ってもらったりしたので、いろいろ自由な発想で作品の制作ができました。
技術以外でも、DECOBIでの多くの出会いは、とても大切でした。会社の人間関係とはまったく違った、いろんな経験、経歴、個性を持った仲間からは、多くの刺激を受けました。自分とは違う個性を持った仲間を見ることで、まわりの一人ひとりのもっている良い部分はもちろん、自分の持っている良い部分や足りない部分がよりはっきりと見えてきました。そのことで自分を大きく成長させることができたと思います。これは一人で勉強したり、制作していては、絶対に得られないですから、デコビでみんなと学べたことは本当によかったと思います。

講師の内田先生はとても専門的で、信頼できる先生でした。最初からこと細かく説明して下さるのではなく、比較的自由に制作をさせてくれました。ですから最初から簡単にうまくいくわけではなく、失敗もしましたが、それによって多くのことが学べたと思っています。うまくできてしまえば学べなかったことですから、失敗するというのはとても大事だったと思います。先生は、そういったことも含めて指導してくださったのだと思います。先生が声をかけてくださるときは、いつもさりげない言葉なのですが、的確で要点を押さえていて分かりやすいアドバイスでした。

最終的には、以前から考えているように、ステンドグラス教室を開講したいと思います。そのためにも今はDECOBIで講師をしたり、自分で制作をすすめながら、さらにステンドグラスを学んでいきたいです。
それからDECOBIで一緒に学んだ仲間たちと、一緒に作品を作ったり、展示会をしたいと思っています。

やりたい気持ちと、やれる状況にあるのなら、ぜひ挑戦してほしいです。私は思い切って挑戦してとてもよかったと思っています。不安な気持ちもありましたが、本気で挑戦し続けていけば、それによって新たな道が自然と開けてくるのだと感じています。
(2008年6月 DECOBI にて)



